「開かれた小さな扉」という題名の本に記された、情緒障害と医師から言われたこともある、5歳の男の子、ディブスがアクスライン女史の遊戯療法により、自分を確立していく物語です。
この物語は、私がまだカウンセラー養成講座に行く前に読んでいた本で、とても感動したのですが、精神的・心理学的な意味は分かっていない頃でした。でも、出張時とか色々な所に持って行ったので、どこかで失くしてしまいました。
今回、メンタライジングを学んで、このディブスの物語はディブスが自分の心をメンタライズして理解し、適切な考え方をし、行動していけるようになる、成長の物語であることがわかったので、購入し直して、その視点で読み直しました。
アクスライン女史の非指示的ではあるが温かい姿勢で、ディブスを尊重して、適切なミラーリングをしていくプロセスが、素晴らしいことを再確認しました。8回以上読んだのですが、毎回涙がにじみ出て来ました。涙の意味をメンタライズすると、ディブスが身体的自己が発する不快を処理できずに情緒的に混乱した状態から、少しずつ抜け出し、自分と世界を適切に理解・成長していくことに、私自身が喜びを感じたように思います。そしてまた、私自身が、自分と世界を理解できなかった頃の、辛さ・悲しさ・みじめさを思い出したのも、あったのだと思いました。
アクスライン女史のように、常に他者を尊重し見守り、助けを求められたときも、その人自身の成長する力を信じ、尊重することができる自分でありたい、と思いました。
読んで頂いてありがとうございました。
(参考文献)バージニア・M.アクスライン著、岡本浜江訳「開かれた小さな扉」、日本エディタースクール出版部